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医院開業コラム

インバウンド対策~①受け入れ態勢の方針編

2018年には訪日外国人は3,000万人を突破し2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催も控え、政府は東京五輪・パラリンピック開催の2020年に訪日観光客4000万人の目標を設定しました。増え続けている外国人患者がさらに増加することも予想され、対応に悩むクリニックも多いのではないでしょうか。今回は開業に伴い外国人患者に対応するために必要な環境整備、また医師に求められる役割について考えてみたいと思います。最近では、訪日観光客が旅行中に体調を悪くし受診を余儀なくされる外国人も少なくありませんがトラブルを未然に防ぐための対策について述べさせて頂きます。

 

訪日外国人受け入れ態勢の方針について

 

①医療費の設定・・・

医療費の価格設定はそれぞれの医療機関の裁量に委ねられています。訪日外国旅行者患者対応にかかるコスト等を念頭に置き、医療費について設定しましょう。

②医療費概算の提示方法・・・

検査や治療を行う前に、あらかじめ医療費の概算を患者に示すことがトラブルを防止する上で非常に重要です。通常、日本の医療機関では、検査や治療の前に医療費の概算を示す慣習や仕組みがありません。医療費の概算を示す具体的な形や仕組みを担当者間で検討して下さい。

③通訳体制・・・

医療機関で導入する通訳手法には様々なものがあり、通訳手法によって長所や短所・コストの違いや受付・検査・診療等によって求められる通訳手法の違いがあります。どのような通訳手法を、どのような場面で、どのように利用するのが最適か担当者間で十分検討し整備するように心がけましょう。

④院内文章の多言語化・・・

円滑な外国人患者の受入れには、院内文書の多言語化が不可欠です。一度にすべての文書の多言語化を図ることは容易ではありません。外国人患者の受診状況を踏まえながら、どのような院内文書を、どのような順序で多言語化するか保管場所を含め検討が必要です。

⑤マニュアル整備・・・

医療機関の規模や機能、外国人患者の受診状況等によっても異なりますが、まずはトラブルを防止するためにはマニュアルの活用が有効です。どのようなマニュアルの作成・望ましいのか関係者間で話し合い作成・導入に取り組むようにして下さい。

⑥宗教上の配慮・・・

外国人患者の場合には、宗教ならびに慣習の違いについて一定の配慮が必要な場合があります。関係者間で十分話し合って、対応及び方針を明確にして下さい。

⑦情報提供・・・

ホームページ等で必要な情報を提供することも有効です。どのような情報をどのように提供するのが最も効果的か関係者間で検討した上で掲載して下さい。

⑧院内研修・・・

外国人患者の受入れを円滑に行うためには、クリニックのスタッフ全体が一定の知識や理解を得ておくことが非常に重要です。外国人患者の受入れや対応に関する職員研修のあり方や実施内容や実施時期についても関係者間でよく話し合った上で実施しましょう。

 

まとめ

クリニック開業時には、さほど外国人患者の受入れのケースは少ないかと思いますが、トラブルは未然に防ぎたいものです。訪日外国人受け入れ態勢の方針についてご検討してみて下さい。

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