診療圏調査実施時の注意点

2018.08.08

1.診療圏調査とは

診療圏調査とは国勢調査の情報、受療率は厚生労働省の患者情報に基づき開業予定地の診療圏内における人口動態及び人口分布に受療率をかけ推定患者数を算出したものです。調査範囲は都市部であれば1km以内、郊外や地方の場合には3km程度に設定する事が多いです。

また、開業クリニックの診療科によっても変わり、競合が多い内科は短め、泌尿器科、精神科と専門的な科目になるほど広域に設定されます。診療圏内に競合クリニックがあった場合は、その分だけ推定患者数に補正をかける必要があります。 診療圏の仮定ができたら、開業予定地から仮定に応じた同心円状の範囲について考えます。

この場合には、河川や線路、交通量の多い国道などの通行の障害にあるものが存在する場合は、それより先は除外する場合もあります。実際でも来院する患者さんはそういないと言われています。

2.診療圏調査の信頼度

診療圏調査で算出される見込み患者数は診療圏における人口に受療数をかけたもので、とても素直で単純なものです。地元住民の口コミによる評判や競合先との競争力の差といったものは含まれていません。最近ではインターネットによる情報で受診する診療機関を決める人も増えており、診療圏調査通りということがますます難しくなっています。

そういう意味では、診療圏調査データは開業してやっていくにあたり十分な潜在的患者数が見込めるかどうかの判断材料に使うのがいいかもしれません。

3.診療圏調査を実施するうえでの注意点

①競合調査をしっかり行う

基本的に診療圏調査では同じ診療科の競合先は挙げられているはずですが、すべてがその診療科をメインでやっているとは限りません。メインでやっていない場合は競争力で大いに優位に立てる可能性があります。特に専門性が高いものであれば、他に選択肢がないので多少不便でも来院に至るケースは多いです。

また、開設者が高齢のクリニックは競合先としての候補に入るほどではすでになくなっている可能性もあります。この場合には、後継者の有無を調査し競合医院としてカウントするかは慎重に考えるべきです。さらに、有名なクリニックや医師、評判が良いクリニック、患者様が通院しやすい開業候補地であるかは競争力を考える上で非常に重要です。

競合医院の開業年数についても、開業からの短期間(クリニック開業後5年以内)の競合医院が多いエリアでの新規クリニック開業は要注意です。

②人口動向の把握

最近では再開発される地域も多いため、開業予定地の都市計画についても把握しておきましょう。計画内容によっては人口動向を大きく左右します。今後10年程先であれば市役所に行けば知ることができるので、ぜひ利用しましょう。

特に交通網の整備やショッピングモール、ビジネス街などの構想が盛り込まれていた場合は、人の流れが大きく変わる可能性があります。開業当初は盛業しても、都市計画が進むとともに来院者が途絶えてしまっては困ります。なるべく想定されることは診療圏調査の補正項目に盛り込みましょう。

まとめ

診療圏調査は各業者に依頼し簡単に行うことができます。しかし、現実味のあるデータにするためにはそれだけ多くの調査や培ってきた経験が必要になります。あくまでも卓上の診療圏調査ではエリア内潜在患者数の把握や競合医院の情報が入手できる程度になります。ロジックがしっかりしていて納得できるものは、実地による診療圏調査になります。もし、良い場所だと感じたのなら、必ず自分自身で現地に赴いて、自分の目で確認することが大事です。

(カテゴリ|クリニック開業成功ポイント)

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